3月9日

 

3月9日

3月9日

 

 

「欲しいものは早く買わなきゃ。死ぬまでの日割りが安くなるじゃん」

 

と、あるバラエティ番組でヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんが言っていた。

ちょうど一年程前に放送されて、私は衝撃を受けた。

すぐに手帳に書き写した。

大きな買い物をする時はいつもその言葉が頭を反芻する。

 

2年程前まで、私は自分にお金を使うことが苦手だった。

食事に行っても、食べたいものより一番安いものを選んでいたし

値下げされているものを優先的に選んだ。

お金にまつわるアレコレは下品だという観念が根強くあったが

色んな経験を経て、果たしてそれは真実だろうかと考えるようになった。

自分の観念を書き出して、良い観念に書き換える為のアファメーションなんかもした。

 

お金は巡るもの

お金は自分の好きに使っていい

お金は困った時助けてくれるもの

お金は選択肢を増やしてくれるもの

お金は堂々と持っていて良い

お金を使うことで人を豊かにしその人がまた違う人を豊かにする

 

手帳に書き出して繰り返し読んだ。

完全に書き換えられたかはわからないが『自分にはお金に対する観念がある』←という風に『ある』を自覚しているだけでも違うような気がする。

 

 ある人の存在も大きな影響を与えてくれた。

幼馴染のSちゃんである。

彼女は、自分の好きなものや欲しいものに惜しみなく投資できる人だった。

人が「良い」というものより、自分が「良い」と思うものを追求していた彼女は

いつも好きなものに囲まれていた。

安くて無難なものに囲まれていた私とは正反対だった。

「ふぁっちゃんはほんま地味やなぁ」と嫌味なく言う彼女に

「無個性という個性やから」と、返しては笑っていた。

そんな彼女は病で、2年前にこの世を去った。

先日、彼女の家に遊びに行った際にお母さんから「荷物を整理していたら出て来て、

もし良かったら使ってもらえない?」と、あるものを頂いた。

小銭入れだった。マンモスの絵柄の。笑。

誰もが知っているブランドのもので、どうしても欲しかったらしく他店から取り寄せまでしたとのこと。

無地ちゃうんかい、そこは。笑。

さっきまでメソメソ泣いていたのにいつの間にか笑っていた。

とても彼女らしく、とても嬉しく、本当にかなわないなぁと思わされた。

私だったら高い買い物なら尚のこと無難を選ぶ。冒険しない。

値段やブランド名ではなく「好き」を追求する姿が伺えた。

彼女のこだわりがたっぷり詰まった小銭入れ。

今、私のカバンの中で守り神として大活躍している。

それを見る度私は「好き」を大事にしようと思う。

 

 

家賃1ヵ月分のコート。

自分のために人生で一番高い服を買ったその日は、幼馴染の誕生日だった。

 

誕生日おめでとう。

あんな、最近めっちゃ高い服を勢いで買ってしまってん。

それ見せたら「高いけど地味やわぁ」って言われるんやろなぁ。

ええねん、地味で。それが私の個性やから。

相変わらず地味やけど、私、今、ちょっとだけ自由に生きてるで。

小銭入れだけパンチ効いてる。

 

 

 

(2019/10/28)